2010/08/05

PPTP 覚え書き

今現在、VPN を張るのに OpenVPN を使用しているのだけれども。
当たり前のことながら市販機器では使用できないので、別のものを考える。

VPN 接続に使われる方式は、主に2つ。
・PPTP / MPPE (RC4)
・L2TP / IPSec
他にも GRE + IPSec で LAN 間接続とかいろいろあるけれど。

さて、使用する予定のクライアントは、Windows PC と iPhone とブロードバンドルータ。
そうすると、事実上 PPTP / MPPE (RC4) しかなくなってしまうという。。。

本当は、L2TP / IPSec でやりたいところなのだけれど、これに対応しているブロードバンドルータがない (正確には、ないわけではないが、3万弱以上のお値段が張る) し、FreeBSD で IPv4 で IPSec を使用する場合、kernel 再構築が必要になってしまい、freebsd-update が使えなくなってしまうと言う面倒くささがあるので、妥協してみる。

PPTP Server には MPD を使用してみようかと思っている。



さて。
PPTP 接続の MTU, MRU, MSS はどうなるのかな、と言うのが、今回のお題。

MTU (Maximum Transmission Unit) : 最大送信ユニット
MRU (Maximum Receive Unit) : 最大受信ユニット
MSS (Maximum Segment Size) : 最大セグメントサイズ (TCP Only)


またややこしいことに、うちのネット接続は、Flet's 網なんだよね。

Flet's の MTU 推奨値は 1,454 bytes です。
これは、Flet's 網の仕様によるものだそうで。



Flet's 網を利用する場合のパケット:

LAN:
IP Header (20 bytes) + Protocol Header + Data = (max) 1,500 bytes
MTU = 1,500

Router -> NTT:
PPPoE Header (6 bytes) + PPP Header (2 bytes) + LAN Packet = (max) 1,500 bytes
MTU = 1,500 - (6 + 2) = 1,492

NTT -> ISP (BAS):
IP Header (20 bytes) + UDP Header (8 bytes) + L2TP Header (16 bytes) + PPP Header (2 bytes) + LAN Packet = (max) 1,500 bytes
MTU = 1,500 - (20 + 8 + 16 + 2) = 1,454


そんなわけで、MTU = 1,454 になるわけです。
MRU も MTU と同じで問題ないでしょう。
MSS は、MTU - 40 (IP Header 20 bytes + TCP Header 20 bytes) になります。


で、この上で PPTP をかましたらどうなるか、ということ。
PPTP のパケットは、こんな構造になっています。

PPTP Packet:
IP Header (20 bytes) + (PPTP) GRE Header (16 bytes) + PPP Header (2 bytes) + LAN Packet = (max) 1,500 bytes

ところがどっこい、これがさらにカプセル化されるわけですよ。
つまり、一番悲惨な状態は、こうなっています。

PPTP Packet on NTT -> ISP (BAS):
IP Header + UDP Header + L2TP Header + PPP Header (以上 Flet's 網でのカプセル化)
+ IP Header + GRE Header + PPP Header + LAN Packet = (max) 1,500 bytes

つまり、MTU は、1,500 - (20 + 8 + 16 + 2) - (20 + 16 + 2) = 1,454 - 38 = 1,416 となります。
MSS は 1,416 - 40 = 1,376 ですね。